当会会員(遺族)の著作です。

2005/01/01

569日の「いのち」がのこしたもの 菊地寿奈美 かもがわ出版 1300円+税

6月21日に、福岡の会場でお買い求めいただけなかった方には、当日販売価格に致します。ご住所・お名前をお知らせください。振込用紙を同封してお送りします。(坂下)

Mailto 購入ご希望のメールはこちらへ:s-ayumi@pop21.odn.ne.jp

     ・・・・・・・・・・・書かずにおれなかったこと・・・・・・・・・・・・

 書く行為そのもので、私自身の荒々しい痛みが少しずつは薄らいできたようにも思います。本にしようと思いましたのは、長期の治療が必要な子どもを抱えた家族や子どもを失った家族の目に触れて、少しでも日ごろの感情的な痛みが穏やかになれば、という思いからです。言葉に嘘をつかないように、ということに気をつけて書きました。(「あとがき」から)

 障害と病気を併せもって生まれた娘。
二重扉のある病室で過ごした日々と、娘を亡くしてからの「想い」を綴る。

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『愛(めぐみ)がおしえてくれたこと』 むたぐちみえこ  新風舎 本体1300円+税

絵本 愛がおしえてくれたこと

 以下、2004年12月12日「小さないのち」公開講座でお母さんが講演してくださった内容の一部です。

 私はもう、一生笑う事はできないと思っていましたし、家族は皆、傷ついて
いましたから、誰かに頼ることもできませんでした。真っ暗やみのトンネルの中をさまよっているようでした。
それでも今はこうして前を向いています。それはやはり残された子どもたちのお陰です。兄も双児の妹望も、涙を見せず一生懸命生きていました。学校へ行き、友達と遊ぶ普段の生活がありました。

 私がメソメソしていると、『お母さんが泣いたらめぐちゃんが悲しむよ。』と励まされました。ましてや、双児として、お互いの体温を感じ、時を共有してきた妹望を思うと、私は自分の足で立ち上がり、歩かなくてはとい気持ちを強くしました。また、誰かを責めても、自分を責めても、決して愛は戻って来ないことに気づきました。

 そしてもうひとつ、私にとっても、家族にとっても大きかったのは、入院中
から葬儀、そして今まで、多くの方々に励まされ見守られてきた事です。葬儀
の際も、校長先生はじめ、友人知人がゴールデンウイークの予定を返上して駆
け付けてくれ、悲しみと混乱の中にいた私たちに代わって雑務を引き受けてく
れました。そして、たくさんの人でひしめき合った会場は愛を想う気持ちで溢
れていました。

 5月5日の澄みきった青空の下、車に乗った愛を同級生の子どもたちが『めぐちゃーん』と叫びながら追いかけて来ました。あの時の光景は
今も瞼に焼き付いています。愛の一生はたったの9年でしたが、今思うといかにもあの子らしく生き抜いた充実したものだったと思います。手加減せず、まっすぐ前を見て、何にでも体当たりで挑戦しました。そして何より私たちにたくさんの愛をくれました。
 
 あれから3年という月日が流れ、私は愛が生きた証を残したいという想いで
1冊の絵本を描く事が出来ました。当時の事を思い出すのはとても辛く、丸3
年がたってやっと筆をとる事ができ、この度出版にこぎつけました。小学生や
中学生が他人の命を奪ったり、親がわが子の命を奪ったり、戦争で幼い命が奪
われたり、ともすれば軽んじられている命の重さを思い出してほしいと願いま
す。一つの命が亡くなることで、どんなにたくさんの涙が流れるのかを知って
ほしいと思います。それが、今の私が愛にしてあげられる唯一の事だと思って
います。お陰様で、地元の小、中学校では読み聞かせや道徳の時間に読んで頂くなど、多くの方々にこの絵本を通じてまた愛に出会って頂いています。翼を得た愛が大きく羽ばたいている様な気がします。

 『お母さんより先に子どもが死んだ時、お母さんが泣くと天使の羽根が濡れ
て飛べなくなっちゃうんだって。』
あなたが旅立つ少し前にお母さんとのんちゃんにそんな話しをしましたね。
お母さんいっぱい泣いちゃったけど、ちゃんと飛べましたか?
いつかあなたに会えるその時まで、あなたにもらったたくさんの愛を胸にがんばるから、見ていてね。
めぐちゃん、お母さんたちの所に生まれてきてくれて本当にありがとう。』