うれしい再会

2006/08/01

「最近うれしかったこと」を話す機会があり
ある看護師さんとの再会について話しました。

 出会ったとき、彼女は看護学生でした。
3年前に私は、大病をして大きな手術を受ける身となり、
現実を受け入れられぬまま病室のベッドに横たわっていたのですが、
ベッドサイドでずっと気づかってくれた人です。
主治医も看護師さんたちも、病棟で働く人々はとても忙しく、
私には、不安を語る、嘆きを聞いてもらう、という気持ちはありませんでした。
中途半端には言葉に乗せられない心境だったからです。
彼女にだけはつらい胸の内を話したかもしれません。
小児科や、病気の子どもと家族の話をたくさんした記憶はありました。
でも学生の彼女には現実感はきっとなく、聞き流したものと思っていました。

 先日、国立生育医療センターで講演させていただいたときのことです。
話し終わったとき、駆け寄ってくる人がありました。
「私のこと覚えてらっしゃいますか」
「・・・・・あっ!」
そこにいた私は、患者経験のある自分を切り離していたように思います。
一気に「自分」が全部つながり、
「あのときはありがとう!!!」
周囲の人が何事かと思う大きな声で言ってしまいました。

 あの後、小児看護を志し、この病院で働いているのだそうです。
私と話したことがきっかけとなったと、言ってくれるだけで嬉しかったです。
このとき手渡してくださったお手紙を大切にしています。