医学部に行くために必要なこと

2007/04/01

 ある医師会主催の公開フォーラムに出演したとき、総合討論で、
会場からとてもほほえましい質問がありました。
「高校生です。医学部に行くにはどんな勉強をしたらいいのですか」
私以外の出演者は全員お医者さんで、とてもいいことをお話されていました。
成績や偏差値に関するアドバイスではぜんぜんなく、
コミュニケーションの大切さや、
小説などもたくさん読んでほしいとか、
子どものもつ可能性と将来性、
そんな子どもの成長に関わる仕事のやりがいについても話されていました。

 私も言いたくて!勝手に混ざって言わせてもらいました。
きょうは全員が医療の話をしましたが、医学と医療は違います。
医療のなかに医学が含まれています。
医療のなかには医学以外になにがあるかとか、どこからどこまでが医療かなどは
すぐには言い尽くせないくらい、医療というのは幅の広いもので、
お医者さんそれぞれが、理念というものをもってそれぞれの幅で担ってくれています。
では医療とはなにか?
病気を治すこと というのではないはずです。
私は、医療とは、人が生きるということを支えているものだと思っています。
もちろん、その子の病気を治すために小児科の先生は必死に立ち向かってくれます。
でも、治らない病気の子どももいます。
そういう子に小児科の先生は、その子が病気と一緒に暮らしていけるように考えてくれます。
重い後遺症を残してしまう子もいます。
そういう子には、その子が障がいと一緒に暮らしていけるように考えてくれます。
不幸にして亡くなってしまう子もいます。
そういう子には、両親が心を回復して、自信を取り戻して、再びまた親になれるように両親を見守ってくれています。
高校生のあなたにしてほしいこと、それは、
自分はなぜ生きているのか、どんなふうに生きたいか、ということを高校生の間に考えておいてほしいということです。
その先に学力のアップや、医学の進歩だって、つながっているのだと思います。

 こんな話をしました。
で、終わってから思いました。
おなかの中でもう病気をもっている子や、生まれたときから障がいをもっている子のことも言えばよかった。