失って、生きる。

2008/10/07

大阪市の小中学校の先生方にお話しをする準備のため
久しぶりに星野富弘さんの画集を開いてみた。
星野さんは、元中学校の体育の先生で、鉄棒から落下して手足の自由を失ってて以降、
絵筆を口にくわえて詩と絵を描き続けている作家だ。
私が始めて星野さんの画集を手にしたのは大学に入学したころで、
母がもっていたものを横取りして今も自分の書棚に並べている。
この作品は初期のもので、事故から9年経ったころの日常が描かれている。

                (星野富弘著「風の旅」立風書房から)
2つの作品は右と左のページにある。
どれほど大切なものでも、取り戻すことができないものが、ある。
元に戻ることを考えるのをやめ、
もう一つの生き方を生きることができるようになるまでには
どれほど険しい道のりと、幾多の格闘があったことか。
本当は、この2つの作品の間には何十ページも描かれた詩や絵があったのではないか、
という気がする。