「夫とはもうやっていけない」

2017/02/21

「夫とは、もうやっていけない…」
という深刻な話を聴きながら
坂下さんは?と尋ねられ
「一人で暮らすより、便利で助かる、というのはあるよね」
なんて言っていた数日後。

スキーに行って、車に戻ってきたら
車は、「かまくら」のようになっていた。

私、大きめのシャベルを買っておいてね、と言ってたのに
ダンナ、聞き流していて
小さいスコップ1つだけ、乗せていた。

私はそれで雪をかき
ダンナは両手で必死にかき
へとへとになって、やっと車を出せる状態に。

私、「右へ大回わりで出て」と言っているのに
ダンナ、聞き流し
きゅっと左にハンドル切ったものだから
私が大量にかき出した雪の上に、乗り上げてしまった。

さあ大変。
もう車は動かない。
何しても、動かない。
いくらエンジン吹かしても、
タイヤはむなしく空回りするばかり。

私、「大雪だから、チェーン巻く練習しといてね」
とお願いしてたのに、
ダンナ、聞き流して
練習しなかったらしい。

  巻けないじゃないか!

  私は自分の役割分担、全部したぞ。

  何で練習しとかなかったんだ??

  どうする気だよ!

  (どれも言っていない。言っても聞き流すから)

ああ、日が暮れてくる。
周りの車は、次々とチェーンを巻いて去ってゆく。
二人だけが取り残されてしまった。

ああ、私はここで凍えて
足先からじわじわと氷になっていくんだろうか‥

そんなのいやだ!
こんなところで、こんなやつと!
と思ってしまった。

「誰か助けてくれる人を探そう」と言ったが
ダンナ、また聞き流して
チェーンを巻く練習(?)ちゅう。

もう無理い〜〜〜
私、駆け出した。
村のおじサンを見つけだし
助けてくださいと、懇願した。

おじサン、「どこだべ?」と
ブルトーザーで、ダッダッダッと出動してくれて
ロープで引きずり出してくれた。

ダンナと私、二人並んで
おでこを膝に擦りつけて
最敬礼でお礼を言った。

お礼を終えると、
私、さっとダンナの横を離れ
無言で乗車。ずーっと無言。

こうやって、いつもいつも聞き流されてきたんだ…

あの、「夫とはもうやっていけない」
が蘇り、私の脳裏に響き渡る。
「便利で助かる」も取り消し。

不便で迷惑なだけだ。