お綺麗な義姉さんと食事

2017/12/01

ついに、義姉さんとお食事する日が来た。

待ち合わせ場所に、早く着きすぎて
自分のほうが大好きな相手とのデートみたい
なーんて、ほくそ笑みながら待っていると
向こうから義姉さんは、ゆっくりと歩いて来た。

私との違いが、もう、ここで1つわかった。
私だったら、先に着いている相手から
「走らなくていい。走らなくていいから」
と言われる場面。

行き先は、友人の結婚式で行ったことはあるものの
以来、初めて行く料亭で、
大阪の町中に、よくこんな広大な土地が、と思う
立派な庭園と、古風な建物。

長い廊下を歩きながら
「犬神家の一族が出てきそうですね」と耳打ちするも
義姉さんは、反応がなく、意味わからなかったみたい。

まずは、お薄をいただく部屋に通され
そのあと、お食事の部屋へ。

義姉さんと私の違いは、いくつもあり
義姉さんは、話をするとき、必ず箸を置く。
私は、ついつい握ったまま喋べる癖があるので
よく気をつけた。

置いたら、置いたままになり、
「温かいうちにどうぞ」と言われ
あっ、はい って感じで。

食事の世話をしてくれる女性が1人付いていて
お茶が減ったころ、入れに来てくれる。
お茶が減っていなければ、そのまま出ていくので、
「急須はテーブルに置いてくれたらいいですね」
と義姉さんに言ったら
「そういうことは、しないのよ」と言われ
ああ、そうなんだ。

その女性から、義姉さん
「お綺麗です」と言われ
さすがだと思った。まったく同感。

手土産は、結局、趣味も好みもワカラナイままで、
無難なところで、コーヒー屋さんに立ち寄ったが、
ドリップ式でいいか尋ねられ、しまった!
わからない。独り暮らしだし…
個包装の、お湯を注ぐタイプのものにしておいた。
こっちで、よかったのかなあ。

何話そう、と思いながら、食事のコースは進み
何か大事なお話があってなのか?という緊張感は
さいごまで持ちながら、ついにそういう話は出なかった。

ダンナには
彼氏、できましたとか!
姑の介護のこと?
えーもう相続の話とか! 
なんて飛ばしていた憶測は、おくびにも出さずに閉幕。