「何でもします」のマークがほしい

2018/10/31

家の近所の、小さな病院を通りかかったとき
うわ、危な!と思い
駆け寄りそうになった。

入院患者さんが、車いすでスロープを登っていた。
目指すは病院の通用口。
後ろに転がり出したら大変。
転落するか、道路に飛び出すか、いずれにしても大怪我だ。

でも、押しに行っていいものか?
押してもらいたいだろうか?
ぜんぜん、わからない…

ともかく、ここに立っていたら
道路には飛び出していかないし、
転がり出したら、止められる
というところまで近づいて、見ていた。

それにしても、上手い。
車輪を手で回して坂を上ることはできないので
両手でスロープの手すりを伝いながら、両足を地に降ろして進んでいる。

これだけのことができる身体能力を持っていて
入院されているんだあ。
どこが悪いんだろう?と思ってしまう。

登り切ったよ。
すごい。

でも、ドアを開けないと。
押して入るのかな?
ちがった!引いて開けるんだ。

マズイ。
引いたとき、やっぱり後ろに転がり落ちるんじゃないか?

私、もっと近づいた。
背中を向けているので、私がいることに気付いていない。

いよいよ、駆け寄る場面か。

おっと、すごい!
左手は手すりを握ったまま、右手でドアノブを握り
車いすがぎりぎり通れるところまで引き寄せて
吸い込まれるように入っていった。

と同時に、ドアも、ガシャン。

なるほど。
寸分の狂いもなく、とは、こういうことだ。

改めて思う。
こんなに工夫が凝らされ、慣れていて、長けていて、
それを、車いすに乗ったこともない私が
押しましょう。助けましょう。
なんて、出る幕ないよな。

出て行き方って、ちょっと難しいと思う。
でも、無関心はいけないと思う。
助けが必要なときは、あるだろうし
本当に危険な目に遭うことも、あるだろう。

「赤ちゃんがおなかにいます」のマークをぶら下げてる人みたいに
「必要なときは何でもします」のマーク、ぶら下げたいわ。