インフルエンザ脳症について

はじめに

インフルエンザ脳症は、小さなお子さんがインフルエンザに罹ったときに発病する、最も重い合併症です。毎年、数百人が発病し、死亡率は約30%、25%の子どもに後遺症が残ります。

こうしたことから、社会的にも大きな関心を集めています。

私たちは、厚生労働省の研究班として、予備調査のスタートから含めて約4年間、この病気の疫学調査、臨床症状や検査所見などの解析、発病した子どもの体の中でどんなことが起きているのか(病態)、重症例の治療法などについて調査を進めてきました。また、この調査の中で、特に意味不明の言動などの症状については、この病気にお子さんが罹った親の会(小さないのち)の協力で、大切な情報を得ることができました。

このパンフレットでは、紙面に限りがあり、細かな情報まで全てを網羅することはできませんが、現在、重要と思われ、小さなお子さんを持つご両親や、この年齢を対象とする保育施設や行政の中で働く方々に、知っておいていただきたい知識をコンパクトにまとめてみました。

小児科医を中心とした多くの医療従事者などの努力により、この数年間死亡率は15%程度まで改善してきましたが、それでもなお高く、又、他にも多くの難問が山積みしています。私たちは、この病気の仕組みをさらに細かく調査を進め、早期診断法や、よりよい治療法の確立・予防方法の確立などを目指したいと思っています。

このパンフレットが、インフルエンザ脳症の知識普及の一助になれば幸いです。

平成15年3月
厚生労働省インフルエンザ脳症・脳症研究班 班長
名古屋大学医学部保健学科 森島恒雄

 

「インフルエンザ脳症」の手引き

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