蘇生学会小児救急シンポジウム
2009/04/16小児救急公開シンポジウム「小児救急医療 改善への方策」
日時 平成16年9月18日(土)午後1:30〜4:00
場所 大阪市立大学医学部学舎4F 第1会場
(大阪市阿倍野区旭町1−5−7)
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以下坂下の発表内容(抄録から)
小児救急『冬がこわい』 2本目の対策として
小さないのち 坂下 裕子
かつて私は小児救急を経て子供を亡くしている。
1歳になったばかりの真冬だった。このときの模様については、これまでに数え切れず語り、本にもしたので、今回は手短にする。
かぜの症状で受診後、夜になって急変、家に来た救急車は病院を見つけられなかった。2ヶ所の医療機関を経由し、4時間半かけて治療ができる病院に行き着くが、娘は命を閉じてしまった。その病院は自宅からわずか10分の距離に。
残された親の無念は、死という結末にとどまることを許されなかった。なぜこうも遠回りする必要があったのか? ことの真相はのちに知ることとなる。
【小さないのち】は、インフルエンザ脳症で子どもを亡くした家族が多く在籍しており、皆一様に、何よりこわいのは冬だと言う。
これはトラウマの話を言っているのではない。インフルエンザがこれまでにない規模で到来したら、子供たちはどうなるのだろう? 小児救急における流行対策を実際に考えている研究者とはまだ出会えていない。
いま各地で推し進められている小児救急の整備は、ずっと継続して行ってほしい。しかし確立までには果てしない道のりであろう。ならば急場しのぎも必要で、本来の計画と並行して、冬に限定した対策がもう1つ立つことを私は祈念している。
インフルエンザの大流行は、間違いなく患者をあふれ返す。そのなかで速やかに重症児を見分け、その子たちを救っていくためには、危機管理対策が用意されていなければ、対処できるとは到底思えない。
これを用意しておくのは行政の義務であると思う。期間を限定した案ではあるが、限定することで可能な策が見えるはずである。
また、インフルエンザという感染症から小児救急を見据えることは、見逃してはいけないツボであるとも思う。
急いで処置しなければ大変なことになる子供たちがいるなら、そのときは、小児科は総力を挙げて守る体制を組んでくれると思う。
いるのに「その子」に手が届かないような危うい環境を背にして、きっと小児科医たちは立ちはだかってくれると私は信じている。