第10回交流講座 発表者の「回答」と「感想」

2018/02/06

質問①
弟の病気について早く知りたかったということですか?
そういった重大な話は誰から聞きたかったですか?
①お母さん
②おばあちゃん
③医師
お兄ちゃんの回答が、①または②の場合、③医師というのは絶対にいやですか。

 

回答
病気について早く知りたかったということですか?
→当時のぼくが病気の説明を聞いても、理解できるかは分からないけれど、「治らないかもしれない」ということは知っておきたかったです。

重大な話は誰から聞きたかったですか?
→今のぼくであれば、「弟の病気の説明」は誰から聞いても構わないと思います。

でも、当時(6歳)のぼくだったら、お父さんかお母さんに聞くのがよかったと思います。理由は緊張しなくてすむからです。

でも、それが難しいことだったから、ぼくは今まで弟の病気のことを知らずに過ごしてきたのだと思います。

医師というのは絶対にいやですか。
→そんなことはないです。弟の病気を一生懸命に治そうそうとしてくれた、お医者さんとぼくも話してみたかったです。

 

質問②
学校のせんせいが、お兄ちゃんのことについてクラスで説明してくれたのは、先生からお母さんに何かアクションがあり、お母さんから先生に説明をお願いしたりしたのですか?
先生が考えてしてくれたのですか?

 

回答(母)
家では普通にふるまっていた息子ですが、学校での様子がおかしかったのは確かです。

しかし、担任の先生の独断でクラスメイトに公表してしまったことで、子ども(6歳児)からその親に伝わってしまう結果になりました。

私は買い物に行くたびに、「お気の毒に」「ご愁傷さまです」など声を掛けられるようになりました。

また、興味本意で「なぜ亡くなったのか」を聞かれるようになり、同情と憐みの目で見られているような気がして、深く傷つき、外に出ることが怖くなりました。

当時は担任の先生の配慮のない行動に腹立たしく思っていましたが、今となっては、クラスメイトに公表したことで、息子に対して周囲が温かな目で見守ってくれたのではないかと思い、結果的にはよかったのかなと、思うようになりました。息子も担任のこの行動を好意的に受け入れています。

息子の発表にはありませんでしたが、息子の情緒がさらに不安定になったため、教頭先生の勧めでスクールカウンセラーにもお世話になりました。

しかしそのスクールカウンセラーの方があまりにもグリーフケアに無知であったため、息子は二重の傷つきを体験しました。

 

質問③
「死ぬような病気だったら、弟といっぱい一緒にいたかったです。」ということですが、やはりその時に、「死ぬような病気」であることを教えてほしかったですか?

 

回答
「死ぬような病気」であることは、絶対に知っておきたかったです。

ぼくは、病状や病名については、そんなに関心がありません。ただ、100%元気になって帰って来ると思っていたから、死んでしまうなんて思ってもいなかったから、「死ぬような病気」だということは教えておいて欲しかったです。

もし、知っていたら弟と会える時間を、もっと大切にしたかったです。

 

質問③
そのほかで、弟のことで教えてほしかったことがあれば教えてほしいです。

 

回答
弟の普段の様子はお父さんに教えてもらっていました。

お医者さんに、弟は死ぬとき、辛くなかったか、しんどくなかったか、さみしくなかったかを教えてもらいたかったです。

 

感想
ぼくは、弟のことをあまり話したくありませんでした。話したあとに、とても悲しくなるからです。でも、弟がお世話になった医療従事者の方だからお話しました。

今回、発表したことで、ぼくの知らなかった弟をたくさん知れました。そして、なにかの役に立てたことが嬉しかったです。

なんの役に立つかは分からないけれど、皆さんから頂いた感想を読んで、そう思いました。ぼくと弟の体験が何かの役に立つんだと。やってよかったと思いました。

ぼくの話を聞きに来てくれてありがとうございました。