第4回交流講座 発表者からの回答など

2017/06/19

1月22日に実施した第4回交流講座の、コメント用紙への回答および発表者の感想です

 

◎感 想

 

交流講座では、私の体験談を聴いてくださり、ありがとうございました。

娘が空に旅立ってからもう何年もの月日が過ぎた中で、娘を看取ったあの頃の情景を思い出して書き綴るのは、もう一度、あの混乱と葛藤に引き戻されたかのようなつらさが伴う作業でした。

交流講座が始まるまでは、娘と自分の体験が医療者の方々のお役にたつだろうか・・。お忙しい中、時間をつくって参加してくださった皆様に有意義な時間を過ごしていただけるだろうか・・と不安に思っていました。

しかし当日に講座が始まると、来てくださった皆様が私の話を、頷きながら、受容的に、最後まで聴いてくださいました。自分と娘の体験を真摯に受けとめてくださったような気がして、そのことをとてもありがたく思いました。

そして、その後のグループワークでは、皆で真剣にディスカッションしてくださり、その姿に、私自身の深い悲しみが少し癒されるような心持ちになりました。

医療者と患児・患児家族としての関係は、患児が亡くなればおのずと終了してしまうものですが、このようにお話をさせていただくことで、娘が生きた軌跡が、参加してくださった皆様を通じて現在の医療に活かされていくことを、娘と一緒に嬉しく思います。ありがとうございます。

そして、これからもよろしくお願いいたします。

 

◎ご質問の答えとして

①夫婦として子どもの治療を決めたり、看取りを行った時に温度差を感じていたか?「夫のことをなんて冷たいことを言うの〜」と思ったことはありますか?

 

→私の場合は、夫婦としての温度差を感じたことはありませんでした。

夫婦で手術をどうするか話した夜に、娘の手術を「見送る」という考えを夫が私に伝えた時、夫が苦悩する姿を目の当たりにしていたので、「そのうえでの決断だったのだ。よくよく考えてのことだ・・」と、私も理解していました。

「なんて冷たいことを言うの〜」と思ったことも、なかったように思います。

母親である私は娘がお腹にいる時から胎動を感じ、実際に娘を産み、娘の存在を体感させてもらえていますが、夫は、生まれた娘を抱くこともないまま、保育器の中の娘に対面することでしか父親の実感を得ていくすべはありませんでした。

面会に行った時に、保育器に手を入れて、娘の頭を優しく撫でる夫を見ていたので、その夫の口から洩れる言葉は、どんな言葉も娘への愛情ゆえだ・・と理解していました。よって、冷たいと感じたことはありませんでした。

 

②グリーフケアについて(特に看取り後)ご案内することの大切さ。どうしたらよいか、考えさせられました。患者会のご案内の方策について具体的に知りたいです。遺族訪問などどうしたらできるか知りたいです。

 

→私の場合は・・ということでですが、お答えします。

私は、お葬式後一週間ほどで病院にお礼に伺った時、病院の建物やいつも鼻で感じていたにおいは変わっていないのに娘がいないのがとてもつらくて、しばらく涙が出て止まりませんでした。

その時に、看護師長さんが手渡してくださったのが遺族会の案内でした。

そういう会があるということにびっくりしましたが、同じように子どもを失う体験をされた方と会える方法があるのだ・・ということがわかり、ほっとしたことを憶えています。

病院で支えてくださったスタッフの方から遺族会の仲間へ・・とバトンタッチをしてくださる感じ。次に繋がれるものを見つけることができて、私にはありがたかったです。

孤独感が少し和らぐように感じました。手渡すタイミングは、なかなか一概にいつが良いと言えないのですが、私は、できれば早く(死亡退院後2週間とか1か月とか)いただけるといいなぁと思いました。

遺族会の情報を知っておくことができれば、あとは自分が良いと思ったタイミングで連絡をとることができるからです。

遺族訪問については、遺族は気持ち的になかなか家を出られなくなってしまいますので、もしも病院の方が少しの間でもお話を聴きに来てくださるならば、私はとても嬉しいです。

頑張った我が子のことを知ってくださっている方と、我が子のことをたくさん話すと思います。

 

③亡くなって退院したご家族はその後どうしておられるか気になるけれど、病院として何かできることがあるか、いつも悩んでいます。何か、こうあってほしいなど、教えてください。

 

→お電話か訪問で、お話を聴いていただける時間を1回とっていただけると嬉しいです。

生前、どれだけ我が子が頑張ったか、その我が子を失ってどれだけつらいか、共感的な理解を持って聴いていただけるのは、闘病を一緒に見守ってくださった医療者の皆様だからこそ・・と思うからです。

その際に、次に繋がっていくことができる遺族会やしんどくなったら連絡をとれる相談機関のような場所を教えていただけることもありがたいです。

 

④退院後、どのようなタイミングでどのような方法でご家族と繋がることが良いと思われますか。,/p>

 

→今までのご質問の答えと重なるのですが、方法としては、お電話か訪問で。

タイミングとしては、私はできればお葬式後、2.3週間とか1か月とか、四十九日法要が終わるまでの時期のほうがありがたいです。

一般的に四十九日法要が終わると一気に寂しくなると言います。

なのでその前に、病院スタッフの方にお話を聴いていただいたり、遺族会などの情報をいただいたりすることで、なんとか自分たちが生きていく道に希望が見えれば・・。

希望なんて実際には湧くものでなく、“すがる藁”のように感じるほうが強いかもしれませんが、家族には“すがる藁”が必要な時期なのだと思います。

 

そしてもうひとつ。今思ったのですが、看取りの質・・。

本人が頑張り、意義深い生の軌跡を残すことができ、家族も納得できる看取りができていることが、子が亡くなった後の生活を家族が前向きに考えていくことができる大事な要件だろうなぁとも思いました。

 

以上です。ありがとうございました。