毎年届くふしぎな年賀状

2010/01/13

毎年、年が明けると、あのときを思い出す。
2003年は、年明けから半年間、入院生活だった。
5年間は、いつまた再発・・・
と不安におののいていたが、
5年が過ぎて、命が繋がった実感をもつようになってからは、
年明けには、闘病を感慨深く振り返れるようになった。

入院中、最初のうちは、入院患者とも口をきけなかった。
しだいに現実を受け入れるようになった頃、自分と似た人がいることに気づいた。
私は、病棟では、ハゲた頭を覆っていなかった。
私だけだと思っていたら、離れた病室に、もう一人いた。
私より若い、30才過ぎの人だった。

もちろん当初は、丸坊主になっていく自分の頭が衝撃的で
到底受け入れられなかったが、
患者同士で、隠し合うと、困るのがお風呂だった。
お風呂は、1つしかなく、2人ずつ次々と入って行っても
決められた時間内に、入りきるのは大変だった。
私は、年配者に先に入ってもらおうと思っていたので、
いつも、ずーっと待っていた。
待っても、待っても、順番が回ってきそうにないので、
お風呂に、好きなとき、好きなだけ入れるようになることが、
唯一ささやかな、夢だった。

にもかかわらず、一人で入って独占している患者がいることに気づいた!
お風呂の入るときには、入り口に「使用中」の札を出す。
その札を、お風呂を出るとき、2枚外すところを目撃したのだった。
そういう人が何人いたか、までは把握していないが、
お風呂では、頭を覆っている帽子やバンダナを外さないわけにいかない。
どうしても、患者同士でも、頭を見せたくないらしい。

このことに気づいた私は、
ルール違反だと責める気持ちにはなれず、
自分の頭を覆うのを、やめた。
しょせん、状況に何ら変化はなかったのだが。
そんなとき、見つけたもう一人の丸坊主が、彼女だった。
仲良くなって、病室を行き来するようになったのだけれど、
彼女は、ずいぶん病気が進行していたので、私より退院が延び
結局、その後は年賀状だけのおつきあいになった。

毎年届く年賀状には、ほんの短いコメントがある。
私の年賀状には、会いたいとか、携帯番号やメールアドレスも、書くのだけれど
それにリアクションのないまま
また次の年に、年賀状が届く。

再発を繰り返していた彼女が、7年経ってもがんばっているなら、
お見舞いにも行きたいし、ねぎらいたいのだけれど
一度、お家を訪ねてみようかなあ・・・
と、独り言のように言ったら
行かないほうがいいんじゃない?と夫から返ってきた。

変らず年賀状をかえす 
ということが、ご主人の気持ちかもしれないから
大事にしたほうがいい。と・・・