いち にの さん!で

2019/08/22

看護師さんと患者さんとの言葉で、
いいな、と思ったのは、
「いち にの さん。」

ありふれた日常語だけれど、
別の意味を含むのを感じた。

二人の姿は私からは見えず、自分も動けなかった頃、
声だけで光景が浮かぶようだった。

おそらくオムツ替えや、車椅子に移るとき、
看護師さんが「いちにの」と言うと「さん」は患者も言い、
「言うだけだけど・・」と患者さんが言ったので、
力は入らないんだ、と私は知る。

その時 看護師さん、「言ってください 助かります」と言った。
この言葉の意味はとても広く、
その時は真意が分からなかったが、
患者さんには通じるものがあったようだ。

その患者さん、必ず「さん」を言う。
助かるとわかったから。

助けて貰うなかで、一瞬でも自分も助けになれる。
ただ世話になるだけではなくなる。

次第に合言葉のように、
「さん!」に力がこめられるようになり、
「ありがとうございます!」と看護師さんから返ってくるようになった。

患者側が、自然と「ありがとう」を言ってもらえる機会は限られる。
助け合っている のではないにしても、
間違いなく「響き合っている 」を感じた。