一日中いても誰も何も言わない場所

2016/05/09

ゴールデンウィーク、終わった。

こういう長い休みのあと
中学生の自死が増えるのだそう。
もっとも増えるのは、夏休み明けの9月1日。

2015年は102人が亡くなり、
100人を越えたのは17年ぶりで
1998年以来なのだという。

1998年って、どんな年だったのだろう。
社会で何が起きていたのか、私は知るよしもない。
その年の2月、あゆみが亡くなったから…

昨年の夏休み終盤、こんなメッセージを出した図書館がある。

  もうすぐ二学期。
  学校が始まるのが死ぬほどつらい子は
  学校を休んで図書館にいらっしゃい。
  マンガもライトノベルもあるよ。
  一日いても誰も何も言わないよ。
  9月から学校へ行くくらいなら死んじゃおうと思ったら
  逃げ場所に図書館も思い出してね。

なんと子どもに理解のある図書館司書さんだろう。
過不足なく素晴らしい。

中でも目を引いたのは、5行目
「一日いても誰も何も言わないよ」

安全と安心が一番、だと思う。
もちろん、その子にとっての安全とは
どこの学校? 行かないとだめだよ などと
とがめるような大人が近寄ってこないこと。

つまり、どこへも「通報」されない保証があれば
安心して居られる。
少なくとも、その日は生きられる。
一日生きることで、小さな分岐が、あるかもしれない。

分岐は、1冊の本が与えてくれるのかもしれないし
過ごす時間が、居場所が、もたらしてくれるかもしれない。
仮に、何ももたらされなかったとしても、ともかく、
きょう一日を、その子は存在していてくれる…

ゴールデンウィーク明けも、それ以外の普通の日にも、
死ぬほど学校に行きたくない子は
図書館が逃げ場所になることを
思い出してくれるといいな。