食パンの袋が果たすもう1つの役割

2023/01/26

予報を上回る寒波で、

高速道路にトラックが止まったままになったのに

スーパーに行くと、食品が並んでいるから、

有難いなあ、と思った。

 

食パンを買い、

この四角い袋を手にするたび、

私は微笑むようになった。

少し前、宿泊したホテルで見た光景が浮かぶ。

 

生後10カ月くらいの女の子を連れた、夫婦が、

レストランで食事をしていた。

女の子は、ほとんど食べられるものがないので

先に離乳食などを済ませて来ていたのだろう。

お腹はすいていない様子。

でも、退屈し始めた。

 

少し口に入れてあげるが

べー、と出してしまい、のけぞる。

 

キー、とか、ぎゃー、とか声を出し始めたので

お父さんが、いろいろ手渡すのだけれど、

ぜんぶ投げてしまって、渡せる物がなくなり、

お母さんも、あやすけれど効果なく、

私は、ゆっくり食事ができない両親に替わり

ちょっと見ててあげたい、と思うものの、

効果あるワケもなく、受け容れられるハズもなく、

気の毒でならなかった。

 

そのとき!

お母さんが、恥ずかしそうに出したのが、

食パンの袋。

 

これを、その子に手渡すと、

急に静かになって、

カサカサ音を楽しんだり、

ふわふわのパンを抱えたり、

絞ってある袋の端を、かじったり、

ずーっと袋に入った食パンと、戯れているのだ。

 

不思議な光景だった。

その子によって、お気に入りがあって、

バスタオルの子もいれば、ぬいぐるみの子もいるが、

食パンですか。

 

できれば出したくなかったね、この場で。

でも持って来ていて正解。

ママは何でもよく知っている。

 

周りの客は、みんな同じこと思っていたと思う。

小さいから騒いでもいいんだよ、でも

静かにさせてくれて、ありがとう!!

ママ、がんばってー