亡くなってからも生きつづける名前

2020/09/29

誰にとっても名前は大事。

生まれたときに、親が考えて考えてつけたもの。

亡くなっても、親は子どもの名前を呼び続けるが、

外からは、徐々に聞こえてこなくなってしまう・・・

 

そこで、「小さないのち」では、

会報をお届けする封筒の宛名を、

亡くなったお子さんの名前も並べて書く

ということを、当初からしてきた。

 

しかし、ここにも個別性があるので、選んでもらう。

併記を「希望しません」のかた、もちろんおられる。

きょうも、この選択を迷われていたお母さんに

つらくなる可能性を含むことを選ぶより

今は、つらくなりそうな要素は、避けて通ってはどうか?

と提案したりした。

 

ほかに届く郵便物でも、

亡くなったお子さん宛てのダイレクトメールが、

本人がいないのに届くのつらいから、断る人、

名前が入ったものが届いたとき、存在を感じて嬉しい人、

お子さんに届いていた通信教材でも

解約せずにとり続ける人など、さまざまだ。

 

わが家は引っ越したので、あゆみへの郵便物は届かない。

ところが、この家に引っ越して、しばらくしたとき

「今年中学1年生のお嬢さんのお母さんですか」

という電話がかかった。

 

「え、あの、はい、そうですが・・・」

と言ったあと、「でもあゆみは亡くなっていて」

と言いかけたとき、

「みほちゃんのご入学、おめでとうございます」

となり、誰?みほちゃんて??

 

学習塾の勧誘だった。

番号は間違っていなかったので

電話の、前の持ち主のお子さんのことらしい。

 

思いがけなかったが、悲しくなったりはせず、

それよりも、

「まさか!あゆみに」と思ったと同時に、

亡くなったと言わず、話を聞いてみようかな?

と思いかけていた。

 

経験がないから、一度くらい、なってみたかった

生きている12歳の女の子の母。