雨上がりの虹のような赤ちゃん

2021/12/08

私が出会うお母さんたちの中にも

お子さんが亡くなられたあとの、妊娠、出産、育児を

感謝と悲しみが織り交ざった、複雑な境地で

過ごすかたが多くおられる。

 

特に、周囲からの

もう大丈夫、と見なされることや

亡くなった子のことは、忘れ去られるような

つらい経験を経ながら。

 

先日、ラジエーションハウスというドラマで

同じような場面があった。

最初の赤ちゃんを心臓の病気で亡くした夫婦の

次に生まれた赤ちゃんも、同じ病気だったが

今度は、難しい治療が成功し、生きることができた。

そのとき、母親は、こう言った。

 

この子が助かったことは、本当に嬉しい。

でも、亡くなった子のことを考えると

私たちだけ幸せで、未来があって

あの子は、まるで最初からいないみたいになるのが

申し訳なくて、つらくて。

 

そのとき、放射線技師役の主人公は、

手書きの、虹のイラストが描かれたステッカーを手渡し

こう言った。

 

アメリカでは、早くに亡くなった赤ちゃんの後に

生まれてきてくれた赤ちゃんのことを、

レインボーベビーと呼ぶ。

悲しみのなかにいる夫婦のもとに来てくれた赤ちゃんは

雨上がりの虹のように希望を与えてくれる

そんな意味が込められている。

 

いい呼び名だと思った。

当事者たちが、涙と微笑みの両方をたずさえていること

あまり知られていないかもしれない。

そして新たな育児不安も。

 

ドラマでは、その夫婦は

赤ちゃんのベビーカーの、よく見えるところに

もらったステッカーを貼って、退院していった。