言われたくない「気づけなくてごめんなさい」

2024/06/14

NHKの朝の「虎に翼」に出てきた

戦後、ヤミ米を食べることを拒否し

栄養失調で亡くなった裁判官がいたこと、

幼いころに母から聞いた。

 

私には、聞いてつらくなる話だった。

何で幼い私に、このように難しい話を

したのだろう・・・ 今もって不思議。

 

つらい話が、私は苦手なのだろうか?

たぶん、苦手だった。

でも、今の私は、つらい話が苦手でない。

あゆみが亡くなってからは。

つらい話を、あえてする家だったことは

今の自分に繋がっているような気がしてきた。

 

自分のつらさも

他人のつらさも

見つめることが大事だと思う。

 

ドラマのなかで、

とても違和感を覚えたくだりがあった。

餓死した裁判官は、主人公(虎子)の旧友で、

虎子は、訃報に衝撃を受けていた。

そこに、亡くなった人の奥さんが訪ねてきた。

虎子は、即座に、深く頭を下げて

「ごめんなさい。苦しんでいたことに気づけなくて」

と謝る。

 

何を言うんだと思った。

お子さんを自死で亡くしたお母さんが

教えてくれたことが蘇る。

 

人がかけてくれる言葉のなかで

一番いやで、つらい言葉が

「気づけなくてごめんなさい」

だったということ。

私は、すぐには理解できなかった。

お母さんが詳しく教えてくれなければ。

 

「母親の私が気づけなかったのに

なぜあなたが気づけたかも、と思うわけ?」

そう感じるということ、まったくだと思った。

 

死別には、他人であっても、

後悔や自責は伴うが、だからといって、

お父さん、お母さん、旦那さん、奥さんを

上回るところでものを言ってはいけない

そう肝に銘じたのだった。

 

ドラマでは、奥さんが言ったのは

「家族が何を言ってもだめだったのに

もし周りが説得して折れていたら

私、やいちゃうわ」だった。

トゲを隠した、うまい返しだった。