短い入院中には無理なことでも

2021/04/21

昨日のつづき。

「元気に生んであげられなくて、この子は私のことを

怒っていると思う」と言ったお母さんに

助産師が「そんなことはありませんよ。赤ちゃんは

そんなこと思ってませんよ」

とは言わないなら、どうすればいいのか?

 

これが難しいのは、特に産科の場合。

さらに死産の場合。

 

生きている赤ちゃんであれば、入院が長く

最初は、自責の強い親や、障がいを受け入れられない親も

看護師が、丁寧に愛情もってかかわっていくなかで

赤ちゃんの反応もあり

親が変化していくことが十分考えられる。

 

けれども産科は、入院がとても短い。

 

多くの産科では、赤ちゃんが亡くなっていても

しっかりと出会って、親子になって、

それから別れる流れをとってくれる。

 

けれども、自責や拒絶が強く、親子になれないまま

別れのときを迎えようとするなら

やっぱり、担当者の考えを、言葉で向けるように

なるだろうと思う。

 

否定的なことを言う親に

「そんなふうに思わないでほしい」と

言っていけないことは、ないようにも思うし

今は心に届かないことを、言っても仕方ないようにも思うし

だったら今は、ともかく、否定的な言葉や思いも、

そのまま受け止めてくれるのも、いいと思うし、

むずかしい・・・

 

ただ、「そんなふうに(否定的に)思わないでほしい」

という思いは

言葉にしなくても、ある程度伝わるような気がする。

 

私たちが、一般的にはあまりしないことで

看護師がしても違和感がないこととして

黙って手を握る

という思いの届け方がある。

 

今は無理で、すぐには無理でも

ゆっくり、後から、後から、

変化することがある。

十分な別れができなかった人ほど

何度も立ち返るはずだから。