あの出会いがなければ当会は生まれなかった
2024/10/29昨年、11月23日は「グリーフを考える日」
と制定された。
昨年は、その記念行事を眺めていたが
今年は、自分が話すこととなり、
収録を終えた。
質問は5つあった。
・どのような思いで活動を始めたか?
・その当時支えになったものは?
・どのようなかたちのグリーフケアがいいか?
・支援者に求められるものは?
・今まさにグリーフを抱えておられる方へ
どれも深い。
限られた時間で話すために、かなり端折ったが
まず1つめ、「どのような思いで始めたか」は
やはり、最初に、一人のお母さんと出会えた
奇跡のような巡り合わせだ。
インターネットがまだなく、
どうしたら同じような状況で亡くした人と出会えるのか、
まったくわからないなかった。
新聞では同じ病気で亡くした人を見た。
この人に会いたいなあ、と思っても
名前もわからず、会うすべはない。
そんななか、私は初対面の人の勧めで手紙を書いた。
その人は、お子さんを亡くされていたが
大きなお子さんで、状況がぜんぜん違った。
「あなたの力になりたい」と言ってくれた言葉に
すがる思いで、手紙を書いて託す。
この手紙がどうなっていくのか、わからないまま
何か月も一人すごした。
ある日、電話が鳴った。
「いま手紙を受け取りました」という声。
嬉しくて、まだ顔も見ていないのに
涙が出ていた。
あとで知ったことだが、
手紙は、どこかの「遺族会」に送られていて、
「該当者がいなければ他の会に転送してあげてほしい」
といった手紙が添えられていたらしい。
何か月もかけて転送されていたのだった。
途中で止まってしまわなかったことに
心が震えるように感謝した。
出会わせてもらったお母さんに会いに行くと
その人は、
新聞に載っていた男の子お母さんだった!
信じられない思いだった。
会うすべなどないと思っていた人に
出会うことができた驚きは。
彼女と出会えていなければ
この会は作れなかったし
何よりも、手紙を届け続けてくださった
見知らぬ方々が存在しなければ
この会は作れなかった。
26年ぶりに、このことを思い返し
また初心に戻れた気がする。