言葉を探し求める努力から
2010/04/09 日々出会うのは、
圧倒的な悲しみ、苦しみに直面している人。
そういう人に宛てる手紙は
言葉がすぐに行き止まり、書き進まなくなる。
どうにか言葉を探し当てたつもりでも、
やはり薄っぺらで
思いをそこに乗せることが、できない。
こんな繕ったような手紙なら、出さないほうがまし
と思ってしまう。
久しぶりに、恩師のところを訪ね、そんな話をした。
いい一言を、またくれた。
「言葉が、言葉のないところを指し示す」
言葉じゃない と、よく言うけれど
言葉ではないという、そのことも、言葉でしか伝えられない。
多くは要らないだけで、言葉は要る。
というふうに、言われた。
昨日、うちを訪ねてくれた小児科の先生も、いいことを言ってくれた。
「行間を読むために、行をしっかりとさせる」
心に染み入る文章は、行間に現れ出るというけれど
行間は、行間だけで存在することが、できない。
行間を指し示す行、つまり文が必要。
どんな文であるかが、行間に映し出される。
といったことを、言われた。
言葉じゃない
と、暗に逃げたり、手を抜いてはいけないと思う。
言葉を探し、文を作る作業と真摯に向き合い
それでも限界を感じたとき、本当に、
言葉がない ということが、言えるのかもしれない。