毎年かかってくる間違い電話
2011/05/13 数年前、「中学1年生のお子さんのお母さんですよね」
に始まった電話が、
「高校1年生の子の――」になって、きょうかかってきた。
この間違い電話、毎年学年が上がる。
塾か、教材のセールスらしい。
最初のときには、つい、
「学年を間違っています。うちの子は、もう1学年下です。
でも、その子は、もういません」
みたいに詳しく応対しそうになり、
ハッと、私、何言いかけてるんだろう・・ と思った。
会のご遺族からよく聞く話では、
亡くなった子の名前で届く、ダイレクトメールが
いやだという人と、うれしいという人が、
半分ずつくらいのように思う。
前述のような電話では、
「結構です」とぴしゃりと切る人もいれば
その子が「いる」素振りで、話の全容を聞くお母さんもいた。
我が家には、あゆみ宛の郵便物が届いたことは、一度もないが
届いたら、どう思うだろう・・・。
もういないのに!と思うだろうか。
この人たちは、今もいると思ってるんだあ、と思うだろうか。
あゆみのように小さく、社会的には存在感の薄かった子であれば、
間違いなくいたことの、証明にさえ思うかもしれない。
実際に体験していないことは、よくわからないが、
少なくとも
坂下あゆみ、という文字には、いとしさを感じるように思う。
でも、あのセールスの電話は、
あゆみを、いるものとしてかけてきた電話ではない。
よその、別の子の親にかけている話なわけだから、
何のことはない、ただの間違い電話。