誰でもみんな灰色

2011/05/31

つらくなったときの、やり過ごし方
人それぞれにあると思う。
私は、意外にも (というのも根がおっちょこちょいのため)
人と会い、わーっとしそうかと思いきや
まったくそうではなく、救いを求める相手は、本。

本は、静かにいろんなことを教えてくれる。だけでなく
いつも受け身でいてくれる。
こちらのペースでページをめくることができ
めくれば豊かに語ってくれるし
そうじゃないでしょ!とか、
いやよ、私は!と思い、閉じてしまえば
もう何も言わず、黙る。

もし人であったなら
「せっかく言ってあげてるのに」と
捨て台詞を言うかもしれない。
「あなたのためなのよ」と
追っかけてくるかもしれない。

悲しみの量は、年月を経ても、変わらないのかもしれない
と前回つぶやいた。
黒色は、心の底に沈殿し、とどまっているだけで
何かあって揺さぶられた折には、また舞い上がり
心を灰色に染めてしまう、と。
それでも、仕方のないことと、諦めかけたとき
ずっと前に読んだ本を思い出した。

この本は、ある本を読んだときに引用文献をあたり、
その本でまた引用文献に当たったとき、出会った本。
藤木正三著 灰色の断層 (ヨルダン社)
前書きに、こうある。
少し長い引用になるが、原文で紹介しよう。

誠実、無欲、色でいえば真白な人、
不実、貧欲、色でいえば真黒な人、
そんな人はいずれも現実にはいません。
いるのは、そのどちらでもない灰色の人でありましょう。
比較的白っぽい灰色から、比較的黒っぽいのまでさまざまではありますが、
とにかく人間は、灰色において一色であります。
その色分けは一人の人間においても一定ではなく、
白と黒との間をゆれ動いているのであり、
白といい、黒といっても、ゆれ動いている者同士の分別に過ぎません。
よくみればやはりお互いに灰色であります。
灰色は、明るくはありませんが温かい色です。
人生の色というべきでありましょう。