「怪しいものではありません」と言いかけた
2017/06/22 会員さんから、お引越しの連絡があったとき
淋しいな… と私も思った。
お訪ねさせてもらったことがあり
お父さん、お母さんから、お子さんのことを
ありありと聴かせていただいた、あのお部屋は
私の思い出の扉にもなっていて。
引っ越しは済んだが、まだ引き渡していないらしい。
やり残していることがあって。
それは写真撮影。
わが家が、あゆみと暮らした上新庄の家を売るとき
部屋の写真を残す、という発想がなかった。
つい先日、ダイキが、行ってみたいと言うので
10年ぶりに、行ってみた。
家は、当時のままに建っていて
私がデザインした石段やドアや、外灯までもが
そのままだった。
そしたら、思いがさらに込み上げたのか
「中を見せてもらえないかなあ」とダイキが言う。
菓子折りなど持参したら、頼めるかなあ
と真剣に考えてみたが、
いやいや、無理だろう。
「昔、この家に住んでいた者です」と言ったとして
不信だろうし、きもち悪いだろう。
私の目の奥には、床の木目の柄も、タイルの濃い藍色も
鮮明に残っているけれど、
7才だった大樹は、おぼろげらしい。
撮っておいてあげればよかった。
ものすごく後悔。
これから引っ越される方、
あとからでも撮れる外観以上に、
中の写真を撮られるといいと思う。
その部屋で、何しながらどんな話したとか
機嫌が悪いと、この床をゴロゴロしたとか
階段は手すりにつかまって上手に登ってたとか
家には、細部にわたって家族の行動が刻み込まれているなあ。
どれも大切な思い出の1コマだ。
親だけでなく、きょうだいにとっても。