私は245番

2019/10/29

月1回の外来受診で、

最初、ちょっとイヤな感じがした。

先生の診察の前に、レントゲンを撮る。

いくつもレントゲン室が並んでいて、前の廊下で待つ。

 

「245番!」

私を呼んでいるとは、すぐに気づかなかった。

あ、そうそう、番号で呼ばれるんだ。

それ私だ、と声がしたほうを向いたとき

「245番?」「こっち」と、若い検査技師。

 

上の階にある整形の外来に行くと、

245とモニターに映し出され、コンコンと診察室に入る。

そしたら先生が、「坂下さん、どーですか」と

初めて名前を呼んでくれ、妙に、ほっこりした。

 

人前で名前を呼ばない、という患者の保護のためだろうか?

でも、大事にされている感は、逆にないんですけど。

 

日本語って、ちょっとの違いで、ずいぶん変わってくる。

あの検査技師、あと3文字、「のかた」を加えるといい。

「245番のかた」と言うだけで

なんか囚人みたいやなあ、と思わなくて済む。

あと、「こっち」じゃなく「こちらへ」だろ。

 

撮り終わって、「ありがとうございました」と部屋を出るとき

「はい、お大事に」と言ってくれたけど、響かない・・・

別に、この言葉は、これでよくて、

じゃあ、何でだろ?

同じ言葉でも、どういう思いを含んでいるか、

患者は、そのあたり、瞬時に読み取ってしまうからだ。