生きているのかどうか分からない辛さ

2021/07/04

静岡県熱海市で、凄まじい土石流が発生し

多数の住民が流されてしまったため

懸命な捜索が行われている。

 

東日本大震災のとき

津波にさらわれた人々の家族は

きっと戻ってくると信じ

年月が過ぎても

どこかで生きている気がする、と言っていた。

 

この頃、「あいまいな喪失」という概念が

日本でも、グリーフの研究者の間で共有されるようになった。

ポーリン・ボス博士が、1999年に発表したambiguous loss

を翻訳した言葉だが、その意味は、

身体的に存在せず、亡くなったのか生きているのか

不明であるため、喪の過程が停滞しがちである

とされている。

 

ものすごく苦しいことなのだ。

ところが、「あいまい」と称していることで

当事者が、何があいまいだ!と憤っている状況を、

目にしたことがある。

 

ほんと、私もそう感じた。

辞書には「不明瞭」という意味も出てくるが

不明瞭だったら、いい、ということもない。

悲しみを表す言葉って、むずかしい。

訳語は、さらにむずかしい。

 

全員助かってほしいし

全員、見つかってほしい。