ちゃんと聴いてくれる人にしか話さない

2022/04/19

今回の学会に限らず、私が発表するときは

自分の体験談をまず話し

出会った方々が教えてくださったことを話す。

 

で、前者については

話すのに、気が引けることがある。

 

普通の親御さんだと、

経緯や、そのときの状況、言葉の中身などは

記憶があいまいになっていくのが当たり前だが

私は、年じゅう話しているので、結構リアルにあり

感情が揺さぶられることも、ほとんどない。

 

けれど気が引けるというのは

親の気持ちに昔も今もないけれど

治療方法や、医療体制などは、年々進歩するので

言っていることが、「古い」と感じることが

自分でもあるのだ。

 

何気なく言われる

「坂下さんが経験された時代と違って」

というひと言なんかでも、

すごく淋しく感じたりする。

 

急に、あゆみが遠くに思え

さらに、さらに、手の届かないところに行ってしまった

かのようで。

 

なので、もう自分から

「急変時の対応は、20年間で様変わりしたのを感じます」

と言って心の防衛線を張っておく。

 

でも、今回の小児科学会では

ぜんぜん淋しい思いをする場面はなかった。

 

前に日記にも書いたが

自分のことも、出会った人のことも

「子どもさんが亡くなるような話はニガテで」

みたいなことを言う医療者の前では

あんたらには、もう聴かせてあげへん

あんたらには、言うの勿体ないわ

という気持ちになって

途中から、実例は話さないようにしている。

 

教えてくださったお母さん、お父さん、

果敢に闘ったお子さんに

申し訳ない気持ちで一杯になるから。

 

その点、小児科の領域にいるぶんには

子どもの死は、最重要課題とされているし

そのことを真剣に考える人しか集まらないから

むしろ、こっちが、癒される。