「あなたにかける言葉はないわ」

2024/07/27

グリーフケアの講演に来てもらった。

長い付き合いのある知人でもある

グリーフケアの研究者。

 

講演のなかで、理論的なことは

どの研究者が解説してもほぼ同じ内容になる。

が、事例に関してはその人が経験したことなので

遺族の体験談にも近く

自分の感覚と一致しているときには、

嬉しくなったりする。

 

きょう事例に取り上げられた1つ目は、

遺族が言われる「ごめんなさい」。

 

謝られるようなこと、しただろうか?

遺族はなんにもしていない。

悲しんでいるだけ。

涙を流しただけ。

そしたら謝られる。

 

言葉を止められたわけでなくても

表現することは、ためらわれ、

淋しさが押し寄せる。

このことは、多くの当事者に共通していると思う。

 

ところが、2つめの言葉

「あなたにかける言葉はないわ」は

賛否が分かれるように思う。

講師は、遺族が傷つく言葉として挙げていた。

私も、そっち側。

 

ところが、

この言葉がよかったという人、結構多い。

言葉を失うほど圧倒されている?

つまり、ことの大きさを最大級ととらえている?

あるいは

わかったようなことを言われるよりいい?

 

そう考えてみたら

確かに、理解あるいい言葉に思えてきた。

 

なぜ私は、いやなほうなのだろう・・・

冷たい感じ。

取り合わない感じ。

突き放された感じ。

 

思い出すことがあって、

「何も言ってあげられないわ」

と言われたことがあるが

すぐ言ってる。考えもせず

と思ったのと

この言葉だけ残して、すり抜けられた感じがした。

 

何にも言えなくても

何にもできなくても

とどまってくれたら有難かった。

ただいてくれることが良かった。

 

「かける言葉はないわ」の実体験は、

皆それぞれだろうけど

それぞれに何か理由があって

「いや」のほうが多数

ということになっているはず。

 

自分が当事者になるまで

こういう言葉へのこだわり、なかった。

だから

繊細さも知った、ということにしておこう。