世間一般の「しあわせ」では満たされない
2025/02/09映画「歩いても歩いても」のこと、も1回。
亡くなった長男が助けた青年とのからみ
以外でも、母親の言動は不可思議だった。
亡くなった子は3人きょうだいで
妹と弟がいる。
妹は結婚して子どもが2人。
弟も結婚して子どもが1人いるが
弟は、子どもをもつ再婚の女性と結婚。
夏休み、孫たちを連れて帰省し
みんなでワイワイと過ごしているが
時折、母親には、えっ?と思う言動がある。
娘は、同居を提案し、
実家の改造の図面まで用意している。
親孝行な娘じゃないー
と思うが、母親は同居するつもりはない。
娘家族との同居がしあわせと聞くけどなあ。
次男は、連れ子を可愛がっている。
母親は、息子の子どもを持つ気はないのか
お嫁さんに尋ねた、にもかかわらず
「やっぱりやめたほうがいい」と言いきる。
連れ子が可哀そうとか言って。
この母親、わけがわからない
と最初思ったが、
母親が一番に想っているのは
亡くなった長男のことだろう。
そして、長男がいた頃と
家族の形態が変わることが
いやなのではないだろうか。
亡くなった人がいた頃
あった施設がなくなったり
なかった建物が建ったり
周辺の光景が変わるだけで
ぎゅーっとなる、という話を聞く。
それが家庭内ともなると
世間的には、家が新しくなったり
家族が増えたりすると
しあわせそうに見えるかもしれない。が、
子どもを亡くしている母親にとっては
心を乱されることなのかもしれない。
笑っていても
美味しそうにものを食べていても
何年たっても
何人家族がいても
子どもを亡くした親の孤独は
続いていくものかもしれない。