しんどい人が更にしんどくならないために

2025/06/29

人工肛門の人が日本に20万人いて

そのほとんどの人は、当事者の会に所属していない

という現状について、彼女が教えてくれたのは

理由はいくつか考えられるが、1つには、

後ろ向きな暗い話を好まない人のこと。

 

現実の受け入れ難さのようなものは、

多くの当事者に共通しているとして

それでも前向きな話題を求める人

前向きな話題についていけない人、に別れる

というのが多くの当事者に共通する。

 

なかなか前向きになれないのだけど

後ろ向きな人との交流は望まない

という人もいる。

つらい人が、つらい人の話に

余計につらくなっていく、というのもある。

 

でも、つらい人が、つらい気持ちを

いくらでも語れる場が必要。

一般社会にそうした受け皿がないから

という考えかたも重視されている。

 

同じことが身に起きても

感情や価値観は多様に存在するため

組織運営というのは、むずかしい・・・

遺族会も同様だ。

 

あゆみを亡くしたあと

子どもを亡くした親の会を1つ見つけて

私は1年間、楽しみに通った。

 

そこにも会報があり

読むのを楽しみにしていた。

毎回投稿されていたお母さんがいて

わが子への思いが

切々と描かれていた。

 

あるときは、こんな内容。

納骨したお墓が、雪国にあるため

冬になると、お墓に積もった雪を

両手で掻き下ろし、

凍った雪を剥がすと

指先から血が出て、雪が血に染まる

と記述されていた。

 

私は、この人の文章から

私も生きよう、と思った。

血を流しながらでも、耐えようと。

 

ところが、その人の原稿は、

会報から姿を消した。

なぜ書くのをやめたのか、

「つどい」で会ったとき、尋ねて、驚いた。

受け付けてもらえなくなった、と。

え?なんで??

 

読むと苦しくなる

もっと前向きな文章を載せてほしい

と要望が続いたからだそう。

 

難しい・・・

そのときも思ったし

いまも思っている。

 

しんどい人は、しんどい人との出会いから

響き合って、力を与え合うことがある。

また、そうとは限らず

しんどい人は、しんどい人に、しんどくなる

ということもある。

 

同じ立場の人の

どこに照準を当てていくといいかは

永遠の問いで

いくら考えても正解はないように思う。

 

あれから27年、当会も

「つどい」をし続け

会報を作り続け、

いまだ手探り。