きょうだい遺族

2004/08/20

 わかちあいの「つどい」の席や会報の中でも、5年間ずっと息子(あゆみの兄)には触れずにきています。会のなかには、一人だけいたお子さんを亡くされ家にお子さんがいないご家族もたくさんおられますので、私個人は、この会のなかでは、家にいる子の話を間に置くよりも、お互いが亡くなった子どもを間に置いて語り合うことを大切にしていきたいと考えているからです。

 けれどもこのページでは息子のことを何度も書いています。
”やさしい悲しい言葉”には何度も遭遇しており、その1つが「お兄ちゃん大丈夫なんですかあ?」です。いつも会の用事に追われ、余裕のない暮らしをしているからでしょうか。
あの当時は「お兄ちゃん」ときたら、「お兄ちゃんがいるんだから泣いていられないよ」でした。

 先日ある学校の「いのちの授業」で、子どもとの死別を涙ながらに語りつくしたあと、一人の先生から「坂下さん、こういう講演も大事なんですが、お兄ちゃんのことが心配ですよね」と言われたときには、脱力してしまいました。
家に帰って息子に嘆きました。
息子が言ってくれました。

お母さん、ぼく言いに行ったろか?
ぼくの家は3人家族で、
3人ともあゆみのことがいまも大事で、
話したいことがたくさんあるんだけど、
お父さんは仕事で忙しいし、ぼくは小学校を休めないし、
家族で時間があるのはお母さんだけだから、
お母さんが家族の代表であゆみの話しをしに行ってるんです って。

ありがとう… 泣けてきました。
お子さんが亡くなったお母さんは大変ですね
と言葉をかけていただくことは、ほんとうに嬉しく有難いことですが、
きょうだいへの影響などでは、悲しい気持に…。
それは、本来の慰めから話が反れてしまっているからだと思います。

 きょうだいのケアや、
きょうだいを育てていくためのサポートについては、
この会でももっと対応していかなければならないと思います。