人生で一番「難しい」と思ったこと
2004/08/30 今までで一番難しいと思ったのは、それまで生きてきたなかの”教え”がひっくりかえったことでした。
日本人のほとんどは無宗教ですが、でも各自”教え”はもっていると思います。教えたのはだいたいが親で、私も親から言われたように育っていきました。逆らいながらも必ず逆らいきれずに。
うそをつかなければ叱られなかった。逆にほめられるくらいだった。
仲良くしたら優しくしてもらえた。友だちがたくさんできた。
勉強がんばったら成績が上がった。いろんなことに自信がついていった。
そうして大人になっていき、いつしか親の教えは自分の「生きかた」となっていきました。
人は助けた以上に自分を助けてくれたし、努力は必ず自分を裏切らなかったし。コレ期待してするのはダメで、無償の気持ですることが大事なんだなー なんて考えながらも、でもうれしいことに原因と結果は一致しているのでした。
あゆみが死んだ。何も悪いことしてないのに死んだ。
毎朝目覚めると同時に立つ練習に取りかかり、何度しりもちをつこうが諦めることを知らず、さらに歩く練習まで加えだし、なんでも噛む練習のほうも怠らず、昼寝を挟んでまた励み、休業日もとらずひたすらに励み、という努力のなか、命が途切れた。
原因のないことは起こらないはずだった…。
努力は結果を裏切らないはずだった…。
目先の結果をいってるんじゃない。
生きるための努力は生きていく中で反映されるものと信じていた。信じきっていた。
人生に打ちのめされるなか、親をはじめかつて自分に”教え”を説いてくれていたような人々が、こんどはぜんぜん意味のないことを説き始めたのです。私は溺れたままぶくぶくと沈んでいくような感じでした。
誰にも難しすぎたのだと思います。
どんな立派な人が、どんな経験や知識や教養を駆使しても、あれは無理だったんです。子どもが死んでしまうワケを解き明かすことと、その子の母親を納得させることは。