「麻薬」の文字に支えられ

2019/08/05

肩に痛み止めのブロック注射が点滴で入っていて、これがかなり痛みを抑えてくれる、と聞いていた。
機械には「麻薬」と書いてある。普段だと強烈な感じがするが、助かるうー、と思った。
ところが、ひたひたと漏れてくる。
看護師さんに言ったら、ビニールを貼ってくれた。

でもやっぱり背中がびちゃびちゃになってきて、ガーゼも貼ってくれたが、私とても不安。
入っていく量が減るんじゃないの?
どうも麻酔科の先生でないと入れ直しはできないみたい。出る量を、ピッピと増やしてくれた。
漏れる量も増えるが入る量も保てるだろうと、良いように解釈に努めるが、いたいよー。

麻薬入れてるのに飲み薬まで足していいのか悩む。
麻薬さんには悪いけど、ただの薬さんにすがり付く。

ただの薬さん(ロキソニン)が最後のとりでに思え、何度もすがった。

そうして2日が過ぎ、麻薬の点滴がゼロになったとき、私は愕然とした。麻薬の針を抜きにきた先生が言った。

「えー抜けてたんですね」
ありえなーーーい!
私、「えっ」しかなく、反応できない。ボロクソ言いそうにもなり、でもそんな行動、取りたくはなく。
ずっと痛さをなぐさめてくれていたし、濡れて気持ち悪くないようにも対処してくれたし。

でもねでもね、あの痛みは麻薬さんに頼りたかったんだ。
入れた本人じゃないから言えるよね、「大変でしたけどここまで以上の痛みはもうありませんので。」って、それ大した情報ではない。
ずっと私は、機械に書かれた麻薬という2文字に支えられていたんだな。

あのシール、小さくてもすごい威力だった。