やっぱり奇跡が起きる子がいる

2020/05/16

自転車で公園に行く途中の、小学生の男の子が

交通事故で重体、「コロナ」で休校中、の記事を

読んだことを覚えている。

 

記事のその後というのは、だいたい不明のままだが

記事を書いた人の元に、その子のお母さんから手紙が届き、

きょうまた記事になっていた。

男の子は脳挫傷で、人工呼吸器を着けて生死をさまよったが

意識が戻り、言葉が話せるまでに回復している、と

お母さんは知らせてくれている。えらいお母さんだ。

 

ずっと前のことを思い出した。

あゆみは、まだ生まれていなかった頃。

家族の見舞に行ったとき、よちよち歩きの女の子が

病院の廊下を、お母さんと行ったり来たり、遊んでいた。

お見舞に来て退屈しているのだろう、と思っていたら

その子が入院中なのだと、お母さんが教えてくれた。

 

話を聞いてびっくり。

家でお母さんが目を放した間が、結構長かったらしく

見つけたとき、風呂の浴槽に沈んでいたと。

心肺停止で搬送され、生還は難しいように言われたらしいが

目の前のその子は、いたってご機嫌。とても元気そう。

後遺症もないと聞き、奇跡って起きるのだと知った。

 

このことを、あゆみが集中治療室に入ったとき

奇跡は起きる!

実際に私は見た

と強く念じた。

 

でも

奇跡は、あゆみには起きなかった・・・

 

あゆみや私は、神様から愛されていないんだ、と思え

ものすごく辛かったが、

あのお母さんには、感謝した。

あのような心強い実話を、初対面の私に教えてくれて。

 

砕け散ってしまいそうな恐怖を支えるのは、

身近な人の励ましの言葉では、なかなか無理で、

自分が、こう、と信じる何かがなければ。

あの子に起きたことが、あゆみにも起きる!

そう信じることで、身の凍るような数日間

どうにか、地に足を着けていられたように思う。