とてもつらいときなのに「お母さんが心配」

2021/04/29

授業で、きょうだいを亡くした子どもの話をし

久しぶりにSちゃん家族のことに触れた。

 

Sちゃんは脳腫瘍で亡くなった。が、

学校に行き、たくさん遊び、晩御飯も食べ、

食後の歯磨きの取り合いで、妹に突き飛ばされたあと

意識を失い、そのまま目覚めていない。

 

母は、手術中の医療ミスではないか、と感じた。

妹は、自分が突き飛ばしたから、と思い込んだ。

突然の死というのは、本当に理解が及ばない。

 

Sちゃんの死が、人為的なものではなく、病気によるもの

と母が理解できたのは、

病院から借りたデータを持って、別の医師を訪ねた時だった。

このとき、妹も付いて行っていたことから

医師が説明にあたる姿、母がその話を聞く姿から、

話の内容は低学年の妹に理解できないまでも

重病であったこと、誰のせいでもないこと、母が納得したこと

が見て取れたらしい。

 

自分のせいではなかった、と理解できた。

付いて行っていてよかった。

廊下で待たされなくてよかった。

子どもも情報が必要。

子どもは目で見たことしか理解しにくいから

その場に居合わせることが大事。

 

いろんなことを教えてくれたSちゃんの妹。

大きくなってから、当時のことを話してくれて

私が、そのときつらかったのは、自分のせいと思ったこと?

と尋ねたら、それよりつらかったことを教えてくれた。

「お母さんが、心配だった」。

 

そうなんだ・・・

そうだね、私もお母さんが心配だった。

Sちゃんのお母さんは、「涙が出ないんです」

と言っていた。

 

涙が込み上げる、ということは

つらいことだけれど

ある程度の安心や安定、泣ける環境があってこそだから。