深刻な告知がなされた直後の患者さん

2021/06/04

大病院の整形外科の、いつもの経過観察。

相変わらず、中待合に入ってからも、長ーい待ち時間に

ぐたーっとなっていたら

後ろの会話が気になってきた。

 

外来の診察室を出た男性患者に、看護師が、

立ち話で、ずっと話しかけている模様。

振り返るのは悪いので、前を向いたままいた。

 

先生から、深刻な告知があったようだ。

多分、がんの、再発とか転移。

後ろは、何科だったかなあ?

 

それにしても、なんで返事しないんだろ?

看護師さん、とても親身に語りかけているのに。

 

そしたら、少しずつ、言葉を返すようになり

「無理はしないで」

「・・・・(無言)・・・・無理はしないで」

「自分のペースでね」

「・・・・(無言)・・・・・自分のペースで」

 

本人が言う言葉を、看護師が繰り返す

は、あるけれど、

看護師の言葉を、本人が繰り返す

もあるんだなあ。

 

「だいじょうぶ?」

「・・・・(無言)・・・・だいじょうぶ?」

 

ん?

まんまやん。

 

このあと

「うん」 ←女性の声

 

3人いるんだ!

患者は奥さんで

言葉を返していたのは、旦那さん?

 

あーーー

奥さん、つらくて、言葉にならないんだ。

旦那さんも、つらいなあ。

 

旦那さん、優しいなあ。

奥さん、つらいけど、旦那さんすごく優しい。

 

外来を出ていく後ろ姿を見送った。

30代だなあ。

 

私も診察が終わり、

処方箋を持って、院外の薬局に行ったら

さっきのご夫婦、並んで座っていた。

手をつないでいた。

旦那さんは、きっと

ぎゅっと握っているだろう。