ご本人の言葉だけが真実を伝えると思う

2023/04/23

知床沖で、観光船が沈没して1年が過ぎたが、

きょう行われた追悼式の新聞記事を見た。

その見出しが、

「癒されることはないが、一歩でも前へ」。

 

ああ苦しい中、この言葉をご遺族は語られたのだなあ

と思った。

ちがった。

この言葉、ご遺族の言葉ではなく

参列された、地元の第三者の言葉。

 

がっかりだ。

第三者に対してではない。

前向きさを表現する、この言葉だけを

新聞が載せていること。

もしかして、

当事者からコメントを得られなかったのかもしれないが

あたかも代弁のように、浮き彫りにする

その発想に、びっくりで、がっかり。

 

ご遺族には、いろんな方がおられ

前向きな言葉を好むひと

なかなか前も後ろも見られないひと

笑顔を絶やさないようにしているひと

人とあまり顔を合わせないようにしているひと、、、

でも、皆さんつらさは相当なもので

言葉や表情だけで内実をとらえることは難しいが

だからといって

来ていた第三者から、いい言葉を引き出して

記事の見出しに、

というのは、どういう意図なんだろう。

 

今月は

池袋で起きた、高齢ドライバーの暴走事故から

4年目を迎えた。

奥さんと、幼い娘さんをいっぺんに奪われた松永さんは

現在の心境を

「悲しみが深くなった。

この手で抱きしめられないことが最も苦しい」

と語られている。

 

言葉ですべてが表現される、とは言えないが

少なくとも、ご本人の言葉を伝えるほうがいい。

言葉にしてもらえなかったなら、

適当に書かないほうがいいと思う。