亡くなっても失われることはない

2025/05/04

ペットロスが、非常につらいこととして

だいぶん認知されるようになってきた。

その話題のなかで、当事者のかたが言われた。

 

「ペットという言い方もつらいです。

家族なのですから。」

 

ああ、人が普通に使っている言葉が

つらい人に追い打ちをかけてしまうのだなあ、

と、この点については初めて気づいた。

 

じゃあ、

なんてお呼びするといいのだろう・・

 

そう考えるなか

自身が指摘された日のことを思い返した。

 

以前、お子さんなくされた方ばかりの席で

忘れられない、忘れないようにしている

ことがあった。

 

「坂下さんがいつも言う言葉で

とてもひっかかることがあります。

子どもを失った親たちは、と言いますよね。

私は、子どもを失ってはいません」

 

ドキッとした。

当時、私は、お子さんをなくされた方々に

「死んだ」「亡くなった」という言葉や文字を

使わないようにしていた。

余計につらくなる、と言われたことがあるので。

 

なので、「死んだ」「亡くなった」と「失った」も

使わないようにすると、

何と言えばいいのだろう・・・

教えていただけますか?と頼んだ。

 

そしたら、言われたのが

「普通に考えて、亡くなった、でしょう。

私は、子どもを亡くしたけれど

失ってはいません。

私のなかに生きていますから。」

 

この言葉を聞き

私は、以後、恐れずに

「なくなった」と言うようになった。

書くときは、ひらがなにすることも多いが

「うしなった」とは言わない。

 

子どもは、亡くなっても

親が子どもを失うことは、ないから。