言葉もなく別れると

2020/09/10

知人がご主人を亡くされてから、初めて会った。

突然だったとは聞いていたけれど、

そんな突然過ぎる死別って、どう受け止めれば。

奥さんが旅行に行く日、駅まで送ってくれて、

着いたので電話したら、ぜんぜん繋がらず、

近所の人に見に行ってもらうと、

家の中で倒れて亡くなっていたと言う。

 

心臓、悪くなかったのに。

悪くても、気づかないことがあるらしい。

わたし、こんこんと言われた。

 

「よくピンピンコロリと言うでしょ。

あれは連れ合いや家族にはとても酷なもの。

でも死に方は選べない。

だから、当たり前の日常のなかで、

今日が最期の日になってもいいくらい、

一緒に過ごす時間を大事にして、

感謝は言葉にして伝えるのよ。」

 

ここまで真剣に聞いていて、

急に涙がこみ上げた。

 

ご主人亡くなってから

家のカレンダーをめくったとき、

ご主人が書いた奥さんの名前があった。

その日は奥さんの誕生日。

 

ご主人は、言葉は残さなかったけれど、

思いはしっかりと伝えた。