3才児を抱き上げられないほど力が抜け
2023/09/25幼稚園の園長が、通園バスを運転し、
迎えに行った園児を、バスに乗せたまま施錠、
熱中症で命を奪ってしまう事故が起きてから
今月で1年が過ぎた。
その日の様子を含め、ご家族の心情などが
お父さんの口から詳しく語られた。
事故が起きたとき
お母さんから、仕事中のお父さんに電話があり
動転している様子だった。
お父さんは、すぐ幼稚園に安否を確認した。
電話に出た副園長は黙ったままなので
「どうなんだ!言え!」と怒鳴ったら、
心肺停止だと言った。
私、思ったのだけど、
車を運転して来る人には、安全のため
最悪の状況は告げないようにする
という考えを、病院では持っていると聞いたことがある。
この場合もそうだったのかなあ?
そうではなく、
申し開きができないから、黙ってしまったのだろうか。
お父さんも動転し、
車の中で怒鳴り続けていたらしい。
病院に着くと
変わり果てた女の子の姿と対面。
心臓マッサージの手は止められた。
このとき、お父さんのほうから
抱っこさせてほしいと申し出ている。
医療者からも言ってくれる場合のほうが多いが
お父さん、よく即座に言えたなあ。
少しでも、普段の感触が残る小さなからだを
抱き締めてほしい。
ところが
私には力強い印象だったお父さんが、
一人で抱き上げられなかったという。
3才の小さなからだを。
お母さんが手を添え、二人で抱えた。
お父さんは、全身の力が抜けてしまったらしい。
今も、ご両親は
亡くなったお子さんが行った世界に、行きたい
と話しながら、思いとどまっているのは
下にお子さんがいるから。
でも、一人残ればいいんじゃない?
という発想、私もよく耳にする。
小さい子どもがいると
2人とも向こうの世界に行くことはできないが
1人は残って、こっちの子の世話をし、
1人は、向こうにいる子の世話をしよう、と。
この案を、なかなか実行に移せないのは
向こうに行くほうの権利を
なかなか獲得できないから、かもしれない。
取り合いが続いていて。