聞いていた話と違ったが全部本当のこと

2024/06/22

淳君と話してから、すぐにお母さんに電話した。

「聞いています」と言ってもらって、ホッとし、

次の週くらいに会いに行った。

 

淳君から聞いた話では、

妹さんは、重い障害をもって生まれ

お母さんは、毎日、夜もずっとお世話してきて

その子が亡くなってしまったから

どんなにつらい思いをしているか

計り知れない、ということだった。

 

そのため私は、

緊張しながら会いに行っていたが

会ったお母さんは、とてもほがらかで

お嬢さんの生まれたときから亡くなるまでのことを

詳細に話してくださった。

 

私は、そんなにも大変な暮らしだったんだ・・・

と思った。

けれどもお母さんは、まったくそうは思われず

「幸せだった」と言われた。

 

親子で、家族で、精一杯生きた

という感じだった。

 

聞いていた話や、想像と、違うじゃないか

と思った。

違ったのは、私の想像と違っただけで

聞いた話は、本当のことだったと思う。

 

お兄ちゃんが、お母さんは大丈夫か?

心配でならないこと。

お兄ちゃんにとって、妹が大切だったから

お母さんにしてみれば、たとえようもなく大切で

手放せないに違いないだろう

と考えていたことや、

きょうだいで、こんなにつらいのだから

親だったら耐えられないほどだろう。

お母さんが明るくするのは、自分たちに心配を

かけないためだろう、

と考えていたことなど

ぜんぶ彼の本心で、すべてが本当のこと。

 

でも、お母さんは、

大丈夫だった。

とても淋しいし、つらいけれど、

大丈夫な人だった。

 

本当に優しいお兄ちゃんだった。

子が親を思う心の深さを実感した日だった。