姿はなくても

2008/08/15

きょうはお墓参りをしたので、久しぶりに夫の実家に行った。
あゆみのことを知っている数少ない身内である義理の姉たちもやって来た。
いきなり「イブのおばけが出るねん!」。
何のことだか分からないが、姉はとても嬉しそうで、自慢げだった。
イブというのは、私が嫁いだ年のクリスマスイブの夜から姉宅で飼われたねこ。
16年も一緒に暮らしたその家族を、姉たちは今年喪った。

ここ数日、イブのおしっこのにおいや、うんこのにおいが、するのだと言う。
甥も同じことを感じていたらしい。
「ここにいるよ、って知らせてるんだと思う」
そう話す姉の表情は、幸せそうだった。

そうか。お盆には猫も帰ってくるなら、人間はぜったい帰って来てるんだろな…
人間はあまり匂いがないから、「ここにいるよ」と知らせることがむずかしいかもしれない。
あ、でもあゆみちゃんは、どこででもうんこや、おしっこ、してたから
知らせやすいはずなんだけどなぁー。

夜になって、みんなで食事に行った。
一人暮らしの姑は、家族が揃ったときに回転寿司に行くのが気に入っている。
もう箸を置いてから、まだ回っているお寿司を眺めていると思っていたら、
姑は、スイートポテトを乗せたお皿に手を伸ばした。それも2つ。
次にバッグの中から小さな袋を取り出して、入れたので、
目を疑ってしまった。
姑は私が思う以上に年を取ってしまったのだと思い、つらくなったとき、
「あゆみちゃん何も食べられなかったから、これ、おみやげ」
あー そういうこと…
言葉が出なかった。
私は何にもわかっていない。