子どもの重病の一部始終を経験した人々
2016/06/25 機関誌にコラムを連載させていただいている
京大病院「にこにこトマト」さんにお送りした原稿です。
いつもタイトルに悩みますが
今回つけたものは、ぴったり、「まさしく」と感じています。
「小さないのち」は、今から18年前に
インフルエンザなどの急性脳症の会として発足しましたが、
この病気の研究が進み、助けられる病気になってからは、
「病気で子どもを亡くした家族の会」として、病名を限定せずに
活動してきました。
対象は変化しても、常に活動の中心は「わかちあい」です。
同じ体験をもつ人が集まり、思い思いに語らいます。
何を打ち明けても構わない。黙ったままでも大丈夫。
泣いても笑っても、違和感のない空間を保つために、
第三者から見えないようにすることや、
語られたことが漏れないようにすることを、重視してきました。
そんな私たちが、未踏の場に歩み出ていきます。
医療者の皆さんに向けて、医療体験を語る計画を立てました。
病気で子どもを亡くした親にとって、グリーフ(喪失の反応)は
いつから始まるのか、と考えますと、
おそらく深刻な病気の告知のときからです。
子どもが深刻な病気になり(あるいは病気を持って生まれ)
極限に追い込まれていくなか、つらい告知はなされます。
そのとき親は、どんな心情で、どんなケアを必要とし、
医療者に対してどんな期待をするのか。
実際に「してもらえた配慮」の数々を発表するとともに、
一部始終を経験した人だからわかる「こうしてほしい」も含め、
普通のお母さんたちが講座を担当します。
「します!」と言ってくれる遺族はいて、それを知った
お医者さん、看護師さん、心理士さんから予約も入ってきました。
目的は子どもの医療の充実ですが、それ以上に
発表にあたるお母さんたちが充実感を得てくれることを
何よりも願っています。
今後、闘病中・終末期・看取り・死別後、
と場面を移しながら、発表の内容は展開していく予定です。