ポイントカードを使い切る
2016/06/21 母の遺品整理は、だいたい片が付いたが
父は、まだまだ。
私がサンタクロースに宛てた手紙なんかも
出てくる。出てくる。
なかなか捨てられない物が多い。
これはポイだ、と
あっさり捨てたにもかかわらず、拾った物がある。
スーパーのスタンプカード。
ホームページを検索してみると
有効だった!
ちょっと遠いが、行ってみようと思う。
そんなこと、別にしなくてもいいのに…
ずっと以前、同い年の友人が、がんになった。
病状が進むと、彼女は身辺整理を始めた。
主婦なので、家の片づけを始めた。
母なので、子どもの身の回りの物を、ずっと先まで揃えた。
動ける間にしようと思う用事は
山のようにあったと思う。
そんな中、彼女は、
たまったポイントカードを、有効に消費した。
金券に換えに行ったり、景品に換えに行ったり。
どうしてもしなければならないことでは、なかったと思う。
けれども、そうすることが、必要だったように映った。
身辺整理の一つのように言っていたが、
底知れぬ不安、やり場のない怒りを抱えながら
できることでは、ないはずだと思った。
普通の主婦が、余念なくいそしむようなことを、
変わらずすることが
平静を保ち、日常を維持する方法、だったのではないだろうか。
その姿は、たくましいだけでなく、愛しかった。
「使いさしのポイントカード」に引き寄せられる理由は
父にではなく、彼女にあるのだと思った。