せいかちゃんのこと思い出したー2

2019/06/09

せいかちゃんは、まだ小さかったのにすごくいい子。

ちょうどパパの仕事がうまくいっていないときで

ママは新聞配達のアルバイトを始めたので

生まれたばかりの妹の世話を、自分から進んでやっていた。

 

頭に大きな腫瘍ができていることは、

本人も誰も気づいておらず

突然倒れて手術となり、そのまま目を覚ますことはなかった。

 

ママは「私が忙しすぎたから」と

ものすごく自分を責めていた。

そんなママが、勉強を始めたのが、視覚障害の人へのボランティアだった。

医師から、せいかちゃんは目が覚めても目が見えなくなるだろう

と知らされていたからだ。

 

一緒にお出かけするボランティア活動が始まると

ママはいろんなことを私に教えてくれた。

視覚障害の人は、目が見える人より「見えている」ものがあることや、

新米ボランティアのママを、かばうように道を歩いてくれること、

待ち合わせの場所には、必ず先に来て待ってくれていることなど。

 

久しぶりに、ママに電話してみると、

その後も勉強をし、経験を積んで

視覚障害の方と関わる仕事を、本業にしていた。

すごい。

ママなりに、せいかちゃんと共に生きていくすべを

何とか見出した結果だった。

 

いつも笑顔で、幼いながら健気に生きたせいかちゃんに

「私も会いたかったー」と思ったので

私は、白い杖の人に少しでも何かできるとき、

ちょっと嬉しい。