最後のおでかけに付き添ってくれた人

2019/10/13

内田さんというヘルパーさんが、どんなに素敵だったか

もう少し書きたいと思う。

 

母は、毎年、ある会に出席するのを楽しみにしていた。

ずっと小学校の教員をしていて、退職後も同僚で開く会があったのだ。

その年も、案内状が届いたが、私は無理だと思った。

母に尋ねると、「行けない」と言う日と「行きたい」と言う日があり

私が付き添えると良いが、どうしても仕事を休めない日。

そのことで悩んでいたら、内田さんが

「良ければ、私が」と言ってくれた。

 

ものすごく助かる。

当日は、仕事の合間にも、上手くいったか気がかりだった。

帰ってきて、尋ねると、

とても楽しそうに、会話が弾んでいたと教えてくれた。

「運動会で大活躍されたそうですね」と、ある年の運動会の出来事を

私にも教えてくれた。

突然のハプニングがあったらしく、母が運動場の端からダッシュして対処した

というような話だった。私は初めて聞く話だった。

母にもそんな快活なときがあったのだ、と嬉しく聴かせてもらった。

 

その日の夜、元同僚の先生から電話があり、先生が教えてくれた話は

「今年で何才かな?」と聞いたら、「38かな?」と言ったと。

それで、みんな大爆笑になった、という話だった。

大爆笑・・・

母自身は、どんな表情だったのかな。

一緒にウケていたらいいけれど、情けない思いをしただろうか?

 

内田さんからは、このことは聞いていないので、

いい空気を感じなかったのだと思う。

母のことを、とても大事に思ってくれている方だから、

内田さんは笑っていない気がする。

 

まったくおかしいのではない。

38才というのは、数えてみて分かった。

母がその学校に勤務した、最後の年の年齢なのだ。

だから合っている。

 

このお出かけが、母が外で他人と過ごす、最後のお出かけになった。