恩返しをしたい人にはできないまま

2020/07/17

あゆみが亡くなって、家を売り飛ばし、引っ越した私は

転居先で「ぼっち」だったことは、先日書いた。

 

とにかく暗かった。

周囲の人は、背景を何も知らないので、

底なし沼のように根暗な人、と思っていただろう。

だからと言って、「子どもを亡くしました」

という札をぶら下げて暮らすわけにもいかず。

 

その状況でPTAをさせられるって、地獄だった。

イジメ?と思うような目にもあった。

(イジメと言っても、用事の押し付けとか、無視とか)

 

そのうち、闘病まで始まった・・・

 

そんななか、

忘れられない、PTAのお母さんがいた。

その人は、イジメに加わっていなかった人。

 

最初にお見舞に来てくれたとき、びっくりした。

阪急電車、地下鉄御堂筋線、地下鉄中央線と乗り換えて

入院していた病院まで来てくれた。

 

そのとき、ダイキには妹がいたことと

その子は亡くなってしまったことを、話した。

その人は、涙を流しながら聴いてくれた。

 

来てくれて、聴いてくれて、くんでくれて、

私は、この1回のお見舞が

ものすごく価値のあるものと考えた。

 

それなのに、次の週にも、また来てくれた。

その次の週も、そのまた次の週も。

 

「申し訳ないから」

と、辞退を切り出した私に

「私は逃げて来ているだけだから、気にしないで」

と言われた。

 

お姑さんから、という意味。

それが本当のことか、どうか、わからない。

気を遣わせないよう、重荷にならないよう

そう言っていたのかもしれないけれど、

患者で、弱っている者は、人に甘えようと思った。

 

退院後、間もなく、その人は

ご主人の転勤で関東に引っ越して行かれた。

だから、私は、恩返しができなかった。

 

だいたいの恩返しは、

ご本人にはできないものだ・・・

違う相手に、別のかたちででも、していこうという気持ち

できれば一生、

自分が動ける間は、もち続けたい。