患者の身になりすぎ訳わからなく

2020/10/22

若い看護師が、患者の意向を上司にかけあうなか

「患者に振り回されている」

と指摘されてしまった、という話をきき

えらいなあ、有り難いことだと思った。

 

あのときも、同じようなことがあった。

父が看病疲れで倒れ、救急車で病院に送り込んだ日

母が急変して亡くなってしまった。

 

父の担当をしていた若い看護師が

何とか父を母のお別れに行かせてあげたい

と言ってくれた。

私は、今動かすのは無理だろう、と言ったが

でも何とかしたい、と強く申し出てくれて

私も、可能なら叶えたい!と、期待を膨らませた。

 

上司にかけあってくれたが、許可はもらえず

「申し訳ありません」と謝られた。

 

家族が言えずにいたことを、申し出てくれたり

これほど親身になってくれたことが、嬉しくて

私はお礼を言い、謝る必要などないと言った。

 

ここまではよかった。

よくなかったのは、このあと。

 

その看護師、父の担当を外れ(たぶん外され)

顔を見ても、挨拶しかしなくなってしまった。

 

態度を変える、というのはよくない。

訳がわからないまま、とっても悲しくなる。

結局、理由はわからないままだった。

 

それで、きょう、

私に近況を教えてくれていたその看護師に

「これって、上から、もうその家族と接しないように、

とか指示があったんじゃないかと思って」

と私が話すと、

じーっと考えて、言ってくれた。

 

「申し訳なくて、話せなくなったのかも・・・」

 

えーーー

考えが及ばなかったが、そうだったとしたら

急にまた申し訳なくなった。

 

患者や家族のために

行動がちょっと外れてしまうとき、って

判断する頭よりも、心のほうがよほど動いているわけで

いい、わるい、は別とし

そういう人間味に、患者の側は満たされる。

 

だったら、やっぱり、あのあと

普通にものを言ってくれるほうが、さらによかったな。