おばあちゃんも主役になっていいと思う

2021/05/14

お母さんだけが大変なのでなく、

お母さんのお母さん、つまりおばあちゃんが

悲しみのあまり、うつ病になられたこともあった。

 

もともと私は、お父さんお母さんと親しくしていて

ご夫婦で私の家に来られることがあったが

ご夫婦ともに、当然深い悲しみにおられた。

少しずつ、少しずつ、気持ちを持ち上げていかれた頃

おばあちゃんが、まだお仕事をされていたのだけれど

仕事に行けなくなり、何をする気もなくなり

「うつ」と診断された。

 

おばあちゃんが会いたいと言ってくださっていると聞き

3人で来ていただいた。

このとき、思った。

なんていいご家庭なのだろう。

 

ご両親とおばあちゃんは、同居されてはいなかったが

1つの家族だと思った。

娘婿さんは、義母を気遣い

やさしい面持ちで、嘆きを聴いておられた。

 

とにかくつらい。

孫ほど可愛いものはない。

この2点に尽きる話だった。

 

一般的には、おばあちゃんは表立って嘆けない。

主役は、なにをおいても母親。

次に父親。

おばあちゃんは、この両人を陰で見守る人、

という位置づけの家庭が多い。

 

あるいは、

他人は言えないちょっと厳しめのこと言う人。

でも、その役割は、嫌われる。

特に母親から。

 

ところが、この家庭は

おばあちゃんがご両親の悲しみを支えたあと

ご自身の順番が回ってきたかのように

ご両親に向けて嘆き始めた。

ご両親は、二人して受け止めた。

 

家族が支え合うとは、こういうことだなあ

と思った。

 

少しずつ良くなっていかれ

お仕事は、減らして復帰され

ご自分のペースで暮らされるようになった。

 

思えば

うつ?ではなかったような気がする。

うつ病だと、あんなにも楽しそうに

可愛くてたまらない様子や、思い出の数々について

生き生きと語られることはないはず。

 

おばあちゃんの深いグリーフを聴いた

と私は思っている。