余程のことがなければ悪者にしない

2021/12/01

いただいたお手紙や、感想文など、大事にとっていたが

お子さんを亡くされた方以外のものは

どんどん整理していっている。

 

その中で、読んでいないものが出てきた。

毎年、授業に行っていた大学の先生からのもの。

学生さんの感想文の中に、混ざっていたため

10年以上も前にもらったものだった。

 

読んでびっくり。

私の本(小さないのちとの約束)から編入試問題にした

というものだった。

長い引用があり、このことについて、どう考えるか?

と出題されていた。

 

その引用箇所は、私が辛い思いをした場面だった。

そのときの光景は、今も目に浮かぶ。

ところが!

目に浮かぶのは、あくまで光景であって

相手の言葉や、いきさつなどは、

私が思っていることと、だいぶん違っていた。

 

この本は、あゆみが亡くなってすぐに書き始めた。

本の中にある詳細な事実を読み

あ、そうだった!と思い出したのだ。

 

講演や授業では、恨みがましいことは、言わないので

記憶のほうは、薄れてしまった、

というか、いわば都合よく、記憶を書き換えていた。

 

都合よくとは

相手を、そこまで悪く思い続けないように。

実際にあった事は、

一人の女性医師から、かなりひどい目にあっている。

 

先日担当した、病院の研修の最後に、私は言った。

多くの親は

関わってくださった医療スタッフのことを

「良くしてくれた」と思いたい。

よほどのことがなければ、悪く思いたくない。

なぜなら

わが子を、可哀そうな子にしたくないから。

短く生きた人生の価値を、下げたくないから。

 

けれども

私が出会う親御さんのなかには

「よほどのこと」「よほどの目」に遭った人はいて

いつも胸が痛いと思っているが、

私も、例外でなかった、と

きょうは思ったなあ。